「例えば、食事会の誘いがあった場合は、

社長の自宅まで朝早くに迎えに行って、

運転手をしました。

基本、社長って運転手がいて、

そうゆうのはあまりOKしてくれないんだけど、

でも、何回か運転手しますよ！と、

アピールしておくと、

じゃあ、今度お願いするか！という風に

言ってくれるので、

そうなったらこっちのもんで、

雑談をしながら営業トークをしつつ、

社長が悩んでいる事や

不安に感じている事についての相談にのる。

そして、それを何回も何回もしているうちに、

どんどん心の距離が近くなっていく。

そうしたら、

いよいよ本腰入れて営業して成約してもらう。

というのも、人間はそもそも

どこの誰だか分からないような人を信用しないし、

信用されなければ、その先の信頼はない。

つまり、

心を許して話を聞いてもらえないので、

だったら、まずは、

信用してもらえるようなアプローチをして、

それでからの方が圧倒的に成約されやすい。

だから、そのような秘策的方法をしていたんだ！」

という話をしてくれました。

しかし、肝心なのはそれ以降、

どうして数十年間も営業で実績を上げ、

それを高く評価され定年まで

「絶対にクビにはならないですむだろう」

と思っていたのに

「クビになってしまったのか？」

です。

僕は気になったので、

それについても話を聞いてみました。

「どうしてクビになったんですか？」

すると彼は、その日一番悲しい声で、

こんな話をしはじめました。

「不景気のあおりを受けつつも、

でも、会社はなんとか倒産しないで

厳しい時代を乗り切っていました。

しかし、私が営業していた商品は

ガラケーの中で使われている部品です。

スマホが登場して以降、

たった数年間でスマホユーザーが日本で

爆発的に増え、その約８割が所有。

営業していた商品の

需要がなくなってしまいました・・・

すると、会社で居場所がなくなってしまい、

次第に粗略に扱われるようになると、

次第にリストラ候補としての噂が社内で広まり、

それから１年くらいしてクビになりました・・・」

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