すると彼は、

とってもびっくりした声で

しかも、怒った口調で

僕にこんな事を言ってきました。

「高橋よ、お前は

何を言ってるんだ、馬鹿か？

美容学校を卒業してから、

美容室に就職し、

それからかれこれ、

１０年以上勤務してきて、

２年前にようやく

店長を任されるまでに

なったんだぞ！

それに、美容師としての

実力もある。

しかも、

美容師は国家資格だから、

再就職しやすい。

また、オーナーが

他にしている事業に失敗して、

今勤めている美容室が

あと６ヶ月で倒産してしまっても、

副業でアルバイトしながら

再就職先を探すから大丈夫さ。

でも、そうなってしまうと、

奥さんや子どもに心配をかけ、

また、４年前に買った

マイホームの３５年ローンが

支払えなくなってしまうような

心配があるから、

それを考えると

不安なだけで・・・」

僕は、怒りつつも

不安な状態の彼が心配になったので、

さらにこんな提案をしました。

「美容師としての実力があって、

しかも、国家資格だから、

再就職しやすいし、

それに、オーナーが

他にしている事業に失敗して、

今勤めている美容室が

あと６ヶ月で倒産してしまっても、

副業でアルバイトしながら

再就職先を探すから

大丈夫っていうのは

確かに、そうだよね。

いい考え方だと思う。

でも、今の美容室業界は

集客にかなり困っているようで、

だから、どのお店も

低価格で集客しようとしている。

でも、それが

スタンダード化されてしまうと、

例えば、

１人１０００円で１０分を

一客単価とすると、

あとは数を

増やさないといけないので、

１０００円で１日の売り上げを

１０万円の目標設定にした場合、

１日に１００も集客しないといけない。

また、それを可能にするような

新聞広告やネット広告でPRしたり、

１００人のお客さんを

相手にするとなると、

それだけ人件費もかかる。

まぁ、１００人だから

２０人〜３０人は必要かなぁ。

しかも、

そのような大人数なので、

貸店舗の大きさや

美容室の内外装への設備投資と

専用駐車場などの

毎月の返済を考えると、

毎月２００万〜３００万以上の

固定費はかかる。

だから、今の美容室業界で

生き残っていくためには

一客単価を上げつつ、

集客数を増やし、

かつ、人をなるべく雇わないで

人件費削減がしたいと考えている。

でも現実は厳しくて

なかなかそううまくはいかないから、

チェーン展開している美容師が

どんどん倒産してる・・・

だから美容師やんないで

他の仕事をした方がいいよ！」

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