そして、部屋に入って、

和風でモダン昭和レトロ風の部屋に案内された僕らは、

「お腹すいたねー」とお互い、顔を見合わせて言い、

僕は、一番奥のトイレに行く時に、

「ちょっといい？」と

わざわざ言わないといけない位置に座り、

Mは、その前の先に座りました。

「え！？高橋さん、どうして、そんな席をわざわざ選んだんですか？」

いい質問ですね。

基本、飲み会では、

企画した幹事が注文管理やお金の管理をする他に、

一番奥のトイレに行く時に、「ちょっといい？」と、

わざわざ言わないといけない位置に座って

みんなの様子を伺いつつ、気を使うのが

一般常識になっているので、それをしたのです。

まぁ、経営者として、

そんな事をするような機会は普段ないのですが、

友人達と１年ぶりに会う忘年会ですからあえてしました。

そして、２分か３分経ったら、

店員が「おとうしの刺身」を持ってきて、

それを僕らはつまみながら、

「うまいねー」と言って少し落ち着いた後、

僕は、「今がチャンスだ！」と思って、

会った時から疑問に感じていた、

「様子違くね？？」について、こんな風に聞きました。

「大学院時代優秀だったお前だから、

きっと、就職した後も会社で大活躍してるんだろうな。

でもさ、会社ってさ、

毎日月曜から金曜まで働いて、

週休２日しかないから、

昔みたいに遊びに行けなくなっちゃっただろ？」

すると・・・

「そうんなんだよ高橋、

毎日朝６時には自宅を出て、

それから、毎日、月曜から金曜まで

満員電車にぎゅうぎゅう詰め状態。

しかもそれを脱出してから会社に出社して

９時から１１時まで仕事するんだから、かなりの激務だよ・・・」

と、会社では絶対に言えないような本音を

僕の黒い２つの目をまっすぐと見てそう言い、

さらに続けてこんな事も言いました。

「確か、昔俺、お前に就職した方がいいよ！

それが安心で安全だからみたいなアドバイスをしたじゃん？

でもさ、今になって思うけどさ、あんときのお前のさ、

研究者としての将来に希望を感じれなかった・・・とか、

俺は大学院を卒業したら起業する！

そして、世界中を旅したり、

日本中のあらゆるグルメを多能するんだ！

を、俺もしとけばよかったな・・・」

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